「こくごレストラン」で自己表現の力を伸ばす!

「こくごレストラン」で自己表現の力を伸ばす!

国語作文教室「こくごレストラン」は、単なる学習塾ではなくて、もっぱら自己表現の力をつけるための塾です。だから、話が盛り上がれば、それを深堀します。小学生たちの学校や家庭だけではないサードプレイスとして、自分の意見を言える場にしているとか。主宰者の笹山麻実さんにお話を伺いました。


あえてひらがなの「こくご」にしたわけ

―なんで国語に限定されたのですか

笹山:国語が得意な子でも、ただまとめることだけはできても、自分の意見を書けない子が多いのです。今の日本の若者の間では、意見をはっきり言うと叩かれるみたいな雰囲気があります。しかし、自分の意見をきちんと言うことさえできなければ、自分の意見を文字にして書けないだろうと思ったのです。

 

そこで、それこそが一番大事じゃないかなと思ってこの塾を始めました。作文教室とは言っていますが、メインはどんな形でもいいから自己表現を伸ばす場にしたいのです。

 

また、こくごレストランの「こくご」はひらがなです。これには意味があります。「国語」にしてしまうと学習のみの意味合いが強くなります。「こくご」は、生活全般、または頭のなかで日々考えていることをふくめます。それを文章にしてみよう!自己表現してみよう!ということです。

 

いろんなことを含んだ「こくご」をレストランで料理する。話す、文章にする、絵にする、踊ってみる…それがこくごレストランです。

―「こくごレストラン」を小学生に限定したのはなぜですか

笹山:中学生だと作文を書くためのテクニックを教わりたいという子どもはいると思います。またそのための塾もたくさんあります。私は中学生になる前に、お子さんにもサードプレイス(家庭と学校以外の第3の場)を持ってもらい、そこで、ちゃんと自分の意見を言える場を作ってほしくって。

 

自分の中身を言える場所がなければ自分の中身は出てこないし、それを書こうとも思いません。中学生にはその時間はないな、と思ったのです。自己表現の塾にわざわざ通わせようとは親御さんも思わないのでは。また、中学生ぐらいになれば、テクニックでなんとか作文は書けてしまいます。


一方、小学5年生ぐらいになると、生徒が急に私に敬語を使いだします。周りの環境で大人になるんですね。逆に小学12年生だと文字がおぼつきません。小学34年生が、一番ストレートに思ったことを言えて書ける時期なんです。


生徒たちそれぞれが自分の言葉を紡ぎ出す

自分でも気がつかない「個性」を見つけてほしい

―授業で自己表現を大事にされていますが、もう少し具体的には

笹山:「余談」を大事にしています。塾の授業ではないところで私が話したことに対して、この子たちが話してくれたことってとても大事なのです。そこにその子たちの一番好きなものや嫌いなものが入っていて、そこの時間だけを今は授業に持ってきたという感じです。

 

ですから、私の授業では、いきなり書き始めることはしません。小さい紙に単語だけ書いて、たとえば「今日」、「お母さん」、「おだんご」と書いてもらって立って発表してもらいます。

 

椅子に座ったままだと好きなことを言いますが、いざ、立って発表するとなると、そういえば団子屋さんが出ていて、アイスも売っていたとか、アイスの横には犬がいて、犬がアイスを食べていてびっくりしたとか、そういうことが発表の中で出てきます。それを発表させてから書いてというと、そういうことが書けたりします。

 

つまり、本人が忘れていたけれど、行った時には色々なことを考えていて、様々なエピソードがあるんだけれど、ただ作文用紙に向かっただけでは、そういったエピソードが思い出せない。でも、しゃべっていると思いだせるというのを実際にはやっています。

―テーマを与えたりはしないのですか

笹山:テーマを与えるときもあります。テーマといっても大きくて、「夏休み」とか。「夏休み面白かったこと3つ書いて」と言って、書いてもらい、「その中で一番話したいのはどれ?」と尋ねて、挙げてもらい、「それに対して単語を何個か書いて」と言い、それを順番に発表してもらいます。

 

余談で誰かの話が面白くて盛り上がってみんなが発言しているときは、それも大事にしているので、メモや発表で終わったときは、作文が翌月になることもあります。最初が短くて作文の時間が長い時もあるし、色々なバターンがあります。

―今の学校教育の問題点はなんでしょうか

笹山:小学校の多人数での集団授業は問題だと思います。せめて半分とか、ひとクラスに3つとか。たぶん、座っているだけの子がいるはずです。もうすこし小さめのグループに分けて授業をしたり、自分の意見が言える授業をもう少し増やしてほしいと思います。

 

ですから、私の塾では、少人数クラスをモットウに1クラス最大5名までにしています。それには意味があります。学校の大人数のなかでは埋もれてしまうお子さんの個性を発掘するお手伝いをしているからです。自分でも気がつかない「個性」を見つけてほしいのです。

オリジナルの紙芝居も開催

逆境でも立ち上がる方法を身に着ける

―生徒さんにはどんな人間になってほしいですか

笹山:私は文章を書くのが好きなので、たとえば何か逆境に至ったときに本を読むとか、文章を書くとか、そういう世界もあるなと思い出してほしいですね。でも、なんでもいいんです。ものを書くのが苦手な生徒もいるかもしれないので、そうしたら音楽でもいいし絵でもいいし、趣味でもいいし…逆境に立った時にそこから立ち上がる方法を身に着けてほしいと思っています。

 

生きていくためには、一番それが大事だと思っています。それができる子になってほしいです。何か絶対その子の得意分野があるはずだから、それを自分で自己肯定していってほしいです。

―紙芝居をオリジナルで創って開催されていますね

笹山:紙芝居はもともと塾のPRで始めましたが、本当は仕事として続けたかったのです。紙芝居って、どうしてもボランティアというイメージが強いですが…。以前は、駄菓子屋さんで月に2回、定期的にやっていましたが、コロナ禍と介護で一回止めていました。昨年、ぼちぼちと何回か開催しましたが、今年は塾に重心を置いて、その中で、開催できたらと考えています。


なぜオリジナルかというと、動画でネット上にあげるときに、既存のストーリーや歌などを借用すると著作権にちょっと引っかかるのです。ですからオリジナルならば安心というわけです。自分や私の家族のことを書いたものや行事について書いたもの、著作権が絡まない民話をベースにした紙芝居などを作りました。

―今後はどう展開されていきますか

笹山:塾をもっと盛り上げたいですね。ただ、私が来てほしい生徒さんというのは、どちらかというとクラスの中で、ちょっとおとなしすぎたり、しゃべりすぎちゃう子たちで、私の塾のコンセプトを分かってきてくださっています。

 

ですから、私の塾はこういうことをしているんだよとちゃんとアピールして、それを理解していただいた上で来てほしいと思っています。本来であれば、学校に行けない子どもたちとかにも来てほしいですね。

―読者へのメッセージをお願いします

笹山:作文を上手に書くだけであれば、そのテクニックを教える塾は色々あります。でも、親御さんも本人も気づかない心の中を表に出せるようにするお手伝いをするのがこくごレストランなので、そのコンセプトに共感してくれる親御さんがいましたならば、ぜひお待ちしております!


国語作文教室「こくごレストラン」ホームページ

https://resutorankokugo.jimdofree.com/






この記事のライター

現代社会は、地縁、血縁、社縁(職場の縁)が希薄になり、個々人がバラバラに分断され、多くの人が孤立するようになりました。そんな社会を修復するにはどうすればいいか。その一つの解が、新たなコミュニティを創造することだと思っています。

関連する投稿


子どもや女性のよろず相談に応えるカウンセラー・栗原厚子さん

子どもや女性のよろず相談に応えるカウンセラー・栗原厚子さん

読み聞かせボランティアから、民生主任児童委員になって被虐待児童の存在を知り、大学に入り直し資格を取って、児童相談所の一時保護所の児童指導員になったそうです。さらには、元住吉の自宅にカウンセリングルーム「マムはぁと」を開設して、女性たちの相談にも乗っているとか。子どもと女性のためのカウンセリング一筋の半生を栗原厚子さんに語っていただきました。


誰でもいつからでも学び直せる個別指導塾「キズキ共育塾 武蔵小杉校」

誰でもいつからでも学び直せる個別指導塾「キズキ共育塾 武蔵小杉校」

『何度でもやり直せる社会をつくる』というビジョンを掲げる株式会社キズキが運営する「キズキ共育塾」は2024年10月現在、全国(東京・神奈川・埼玉・愛知・京都・大阪)に13校舎を展開しています。今回は、神奈川県川崎市中原区の「キズキ共育塾 武蔵小杉校」の教室長の池田さんにお話を伺いました。


アロマの伝道師・安齋由香さんの「紆余曲折人生」

アロマの伝道師・安齋由香さんの「紆余曲折人生」

いまでこそアロマの伝道師として、アロマの効用や魅力を広めている中原区在住の安齋由香さん。しかし、その半生は、紆余曲折と言ってもいいようです。3歳の頃からピアニストを目指していたけれど、手の手術で断念し、歌手に転向。一転、エステティシャンになったと思ったら、介護に追われた日々へ。その後、夫婦でラーメン屋を経営することに。その波乱に満ちた人生を語っていただきました。


元住吉商店街のホープ・中村順さんの「本氣」

元住吉商店街のホープ・中村順さんの「本氣」

元住吉商店街で、鍼灸院「響氣」(ひびき)とユニークな飲食店「和氣和氣」を経営している中村順(すなほ)さん。「響氣」では、患者さんとのお出かけ会や患者さん自身の誕生日会を開き、「和氣和氣」では、日本酒を持ち寄って知識を共有する会を催し、スタッフが主催の若手の交流イベントのサポートもしており、意欲的に新しいことに「本氣」で取り組んでいます。そんな試みについて話を伺いました。


相続・終活カフェ「しんまるcoffee」が提供するサービスとは

相続・終活カフェ「しんまるcoffee」が提供するサービスとは

新丸子駅のほど近くに相続・終活カフェ「しんまるcoffee」があります。そこでは、「まちの専門家グループ」が相続に関するもめ事や相続税のシミュレーション、あるいは、相続登記の相談事などにのってくれます。そんなサービスについて、株式会社ラックコンサルタントの山本泰弘さんにお話を伺いました。


最新の投稿


学力だけじゃない!人間力も育成する「東進ハイスクール 武蔵小杉校」

学力だけじゃない!人間力も育成する「東進ハイスクール 武蔵小杉校」

株式会社ナガセが運営する東進ハイスクールは、映像による授業で有名ですが、月に1回、各界のトップリーダーの方を講師に迎え、高校生の生徒向けに講演会とワークショップを開催し、人財育成にも力を入れています。そんな「東進ハイスクール 武蔵小杉校」の校舎長の松永裕太さんにお話を伺ってきました。


子どもや女性のよろず相談に応えるカウンセラー・栗原厚子さん

子どもや女性のよろず相談に応えるカウンセラー・栗原厚子さん

読み聞かせボランティアから、民生主任児童委員になって被虐待児童の存在を知り、大学に入り直し資格を取って、児童相談所の一時保護所の児童指導員になったそうです。さらには、元住吉の自宅にカウンセリングルーム「マムはぁと」を開設して、女性たちの相談にも乗っているとか。子どもと女性のためのカウンセリング一筋の半生を栗原厚子さんに語っていただきました。


武蔵小杉周辺のおすすめイタリアン20選!人気店や隠れ家的なお店も

武蔵小杉周辺のおすすめイタリアン20選!人気店や隠れ家的なお店も

通勤やショッピングに便利な武蔵小杉駅を中心としたエリアには、さまざまなジャンルの美味しいお店が立ち並んでいます。中でもイタリアンは日々のちょっとした贅沢や記念日での食事にピッタリなため、探している方も多いでしょう。この記事では、武蔵小杉エリアのおすすめイタリアンのお店を20店厳選してご紹介します。 美味しい人気店はもちろん、デートにピッタリな隠れ家的なお店やおしゃれなお店、安くて美味しいお店など、あなたに合ったお店を見つけてください。


武蔵小杉周辺のおすすめパン屋16選!川崎市中原区で買えるおいしいパン

武蔵小杉周辺のおすすめパン屋16選!川崎市中原区で買えるおいしいパン

主要駅へのアクセスが抜群の武蔵小杉駅。この周辺は治安もよく大型商業施設も揃っており、ファミリー層にも人気のエリアです。会社員や子育て世帯が集まるこの地域では、今日も数多くのパン屋がおいしいパンを作っているでしょう。この記事では、武蔵小杉駅周辺のパン屋をご紹介します。駅チカの人気パン屋から地元に愛されている隠れた名店パン屋まで、16店を厳選しました。各パン屋の特徴や住所、営業時間などをご紹介します。武蔵小杉周辺でパン屋を探している方は、ぜひチェックしてください。


誰でもいつからでも学び直せる個別指導塾「キズキ共育塾 武蔵小杉校」

誰でもいつからでも学び直せる個別指導塾「キズキ共育塾 武蔵小杉校」

『何度でもやり直せる社会をつくる』というビジョンを掲げる株式会社キズキが運営する「キズキ共育塾」は2024年10月現在、全国(東京・神奈川・埼玉・愛知・京都・大阪)に13校舎を展開しています。今回は、神奈川県川崎市中原区の「キズキ共育塾 武蔵小杉校」の教室長の池田さんにお話を伺いました。


区民ライター募集