独自のコミュニティで認知度を高める「福街不動産」

独自のコミュニティで認知度を高める「福街不動産」

福街不動産は、次々とイベントを仕掛け、集客力を高めています。また、店舗を開放して勉強スペースとして利用してもらうことで、独自のコミュニティを築き上げています。その背景には、大手不動産会社から独立して思い知った甘い考えの反省があるとか。代表取締役の福地真吾さんにお話を伺いました。


様々なイベントを開催して「壁」をなくす

―活発に店舗でイベントを開催されていますね。どんなイベントがありますか

福地:定期的に福街マルシェを開催していますが、元住吉にある個人店さんが出品されています。たとえばナッツなどの量り売りのバルクフーズさんや八百屋さん、コーヒー豆屋さんなどから出品してもらって、近所の方々に私の店舗に来てもらっています。

 

また、「街ツアー」といって、物件ツアーなのですが、ワンルームマンションから戸建ての一軒家まで、街にある様々な空室の物件を、条件に関係なく見てもらって、知識を深めてもらっています。街の外からも参加してくれますし、街に住んでいる方も来てくれます。

 

「元住吉わんにゃんタウン」というイベントでは、懇意にしている元住吉のシリウス犬猫病院の院長さんに、ペットに関するセミナーの講師をしてもらいました。ですから、大半の来場者はペットを連れてきますが、ペットを飼おうと思っている人やペットを飼うとどういうことが必要になるのかという興味で来られる方もいます。

 

物件としてはペット可の物件もあれば不可の物件もあるので、それがどう違うのか、条件や家賃とかのお話もさせてもらいました。ただ、元住吉周辺は人気があるために、ペット不可でも結構、入居者が埋まってしまいます。

 

逆に駅から離れているなど訴求力が弱い物件では、ペット可にして入居してもらうというケースもあります。家賃や敷金を高めに設定してもペット可がいいという方は多いですね。

 

餃子会というのもあり、知り合いの方に来ていただいて、餃子を皮に包んで焼いて食べる会です。餃子はお店でも食べられますし、もちろん家庭でも食べられますが、みんなで作って食べるというのはあまりないので、楽しんでいただいています。

 

もちろん、イベントを開催する背景にはビジネス的な考えもあります。不動産屋というのは、ふだんなかなか用がないところです。ですから、いったんお店に来ていただき、私と知り合いになってくださると壁がなくなるかなと思って始めました。

地域住民が集う「福街マルシェ」

店舗を「勉強スペース」として住民に無料で開放

―傘のリユースもされていますね

福地:もともとは、色々なお店に傘を置いてもらって、使ったらうちの店舗に返しに来てくれたらいいなと思って始めました。しかし、ほとんど返ってきませんでしたね。()

―駅前で傘を配られたこともあったとか

福地:そういう時もありました。人生の中でとても恥ずかしい出来事のひとつですね。ちょっと及び腰ながらも傘を持って行っていただいたときには嬉しかったですね。

―特に仕事に結びつけるものではなかったのですね

福地:確かに、私の店舗まで傘を返しに来てくれて、場所を知ってもらえればいいなとは思いましたが、それよりも面白いことをやりたいという気持ちの方が大きかったですね。

―元住吉スタディフリールーム(通称モトフリ)も開催していますね

福地:勉強スペースの提供です。図書館が緩くなったような感じが一番近いイメージでしょうか。無料で店舗を開放しています。こちらで何かを用意する必要はなく、場所の提供だけなので、みなさんが思い思いのやりたいことをもちより、勉強するというスペースです。

 

特徴としては、45分勉強タイムで15分休憩という小学校の時間割に真似てやっているので、その45分に集中して勉強している方が多いですね。当初は、毎週火曜日の夜7時から10時までやっていましたが、最近は日曜日の朝1000から1145までになっています。

―モトフリについては何か目的があったのですか

福地:私が開業したのが、20167月ですが、一人で始めたので監視する人もいず、仕事以外のことを始めてしまうと緩くなってしまうので、誰か店にいてもらおうと思って始めました。

 

店舗に人がいるようになると、私も仕事に集中できたりしました。また、モトフリに参加してくださる方から不動産の相談で声をかけてもらえるようにもなりました。たとえば、シェアハウスに住んでいた方が賃貸マンションに引っ越すというので声をかけていただくとか。

―地道に地元にコミュニティを築き上げていくことで、認知度をあげていったんですね

福地:そうですね。私には自社物件があるわけでもなく、徒手空拳で始めてしまったので、とにかく人に知ってもらおう、気安く声をかけていただくにはどうしたらいいのかを考え、まずは店舗に来ていただき、私と話をする機会を増やそうと思ったのです。

不定期に開催される「コストコフェア」

独立して思い知った「甘い考え」

あとは、自分自身が不動産売買だけをやっていると飽きてしまうというか、どうしても作業としては似通ってきて、刺激がなくなってしまうので、イベントを開催することで仕事のモチベーションを高めているという面もあります。

―もともと大手不動産会社におられたそうですが、独立していかがでしたか

福地:かつては世間に名の通った会社で不動産売買の営業のみをやっていましたが、大手なのでお客様が自然と来店してくださって、毎月、8組程度は担当していました。独立してひとりで始めてみたときにも、ちょっとその感覚を持っていたので、お客さんは自然と来てくれるだろうという甘い考えがありました。

 

物件情報を自社ホームページに載せれば、お客さんは自然とくるだろうと思っていたのです。しかし、まったくお客さんが来ず、聞いたこともない名前の不動産屋には、お客さんは来ないと思い知りました。そこで、なにしろ認知してもらうためにイベントを始めました。

 

また、店舗の立地が路面で角地なので開放感があって、ある程度の広さがある店舗なので、このスペースを生かそうと思い立ったのです。しょせん、大手にはかなわないので、小さいながら大手とは違うアプローチをしていこうと思ったわけです。

福街不動産ならではの「ゆったり感」

―福街不動産のキャッチフレーズが「街と人と住まいを」ですね

福地:不動産には相場がありますが、その相場はどう決まるかといえば、やはり街の価値です。ですから不動産は物件のみならず、その周囲の街を含めた価値ですから、街は大事な要素ですね。

―福街不動産がアピールできるオリジナリティはなんですか

福地:やはり、ゆったり感というか、お客さんが自分のペースで不動産を探せることですね。また、いますぐではなくて、引っ越しは数年後だけれど、今から話を聞いてみたい方から、声をかけていただいています。マネタイズは先になりますが、店のファンになってくれるのはありがたいです。

 

もちろん、物件は早い者勝ちでもあるので、スピード感も大事で、住宅ローンの事前審査を前もってやっておくなどの準備も大事です。そういうやりとりの中で、だんだんと関係をつくっていただくようにしています。

―今後、どういう展開を考えていますか

福地:もっと色々な人に知ってもらい、狩りをするような営業ではなく、農耕民族的な育てるという感じで展開していきたいと思っています。そうでないと自分自身が疲れてしまうので。

 

福街不動産ならば、こういうサービスを提供していますということを認知してもらい、様々な選択肢がある中で、「私ならば、福街不動産がぴったりだな」という人から自然と声がかかってくれたらいいなと思っています。そうなれば余裕が生まれ、もっと多くのイベントを仕掛けられるようにもなります。

―読者へのメッセージをお願いします

福地:イベントに積極的に参加していただき、人と交流していくと色々な出会いがあるかなと思います。福街不動産は住居を考える際の選択肢の一つとして皆さんの心の中にあってほしいと思っています。福街マルシェなども引き続き開催しますので、ぜひご参加ください!

 

福街不動産ホームページ:https://fukumachifudousan.co.jp/

Facebookhttps://www.facebook.com/pukusanpo

LINEhttps://lin.ee/p2U6N9e

Instagramhttps://www.instagram.com/pukumachi/

Xhttps://twitter.com/pukusanpo

この記事のライター

現代社会は、地縁、血縁、社縁(職場の縁)が希薄になり、個々人がバラバラに分断され、多くの人が孤立するようになりました。そんな社会を修復するにはどうすればいいか。その一つの解が、新たなコミュニティを創造することだと思っています。

関連する投稿


「ワクワクする場づくりを!」かわさき市民活動センターの竹迫和代さん

「ワクワクする場づくりを!」かわさき市民活動センターの竹迫和代さん

公益財団法人かわさき市民活動センターの理事長をされている竹迫和代(たかば かずよ)さんは、今、同センターを今一度バージョンアップさせる変革に取り組んでいます。その背景には、都市計画などにおける住民参加のプロセスデザインを仕事としてきたキャリアがあるようです。これまで、どのような道のりを歩んでこられたのか、お話を伺いました。


大人は口出し禁止「こどものまちミニカワサキ」の大城英理子さん

大人は口出し禁止「こどものまちミニカワサキ」の大城英理子さん

大城英理子さんは、もともと大手設計事務所で都市開発の仕事に従事していたそうです。しかし、子育てとの両立に悩んで会社を辞めてから、子どもの成長環境に取り組むようになって出会ったのが「こどものまち」。子どもたちだけでまちづくりをする仕組みに魅了されたそうです。「こどものまちミニカワサキ」にたどり着く道のりと、「こどものまち」がどんなものなのか、お話を伺いました。


住み開きシェアハウス「TACOHAUS」でまちのハブを目指す大塚誠也さん

住み開きシェアハウス「TACOHAUS」でまちのハブを目指す大塚誠也さん

学生時代に「生きる意味」を探しにアフリカまで人類の起源をたどる旅に出た大塚誠也さん。帰国後の就職活動は、旅での体験とのあまりのギャップに違和感を感じてやめて、新卒のフリーランスとして、場づくりの活動に着手。現在はデザイナーをしつつ、武蔵新城に住み開きシェアハウス「TACOHAUS」を運営しています。「生きる意味」とは、また、どんなシェアハウスなのか、お話を伺いました。


薬物依存の経験を運営に生かす川崎ダルク支援会の岡﨑重人さん

薬物依存の経験を運営に生かす川崎ダルク支援会の岡﨑重人さん

武蔵新城に特定非営利活動法人 川崎ダルク支援会があります。この団体は、薬物依存症に陥った人たちが依存から回復していく上での支援を行っていますが、理事長の岡﨑重人さん自身、薬物依存の経験の持ち主です。どんな経験をしたのか、またその経験を生かして、川崎ダルク支援会でどんな支援をしているのか、お話を伺いました。


LGBTQであることをオープンにする女子プロボクサー・柳尾美佳さん

LGBTQであることをオープンにする女子プロボクサー・柳尾美佳さん

中原区在住で現在、日本女子プロボクシング第2位の柳尾美佳(やぎお みか)さん。子どもの頃から女性を好きになることに気づき、大学生になって自分がトランスジェンダーであることをはっきりと自覚したそうです。そのことを隠しもせず、逆にSNSでも堂々と「LGBTQプロボクサー」を名乗っているわけをお伺いしました。


最新の投稿


「武蔵小杉鍼灸接骨院」で鍼灸を初めて体験してきました!

「武蔵小杉鍼灸接骨院」で鍼灸を初めて体験してきました!

慢性的な肩こりと腰痛に悩んでいる「こすぎのわ」編集部のAYU氏。整形外科やマッサージへ行ってもあまり改善されず・・鍼灸は痛そうだしと避けていましたが、鍼灸へ行った友人から勧められて遂に行くことを決意。そんなAYU氏の体験レポートをお届けいたします。


【武蔵小杉】初心者にもおすすめ!女性向けヨガ教室6選

【武蔵小杉】初心者にもおすすめ!女性向けヨガ教室6選

忙しい毎日を過ごす中で、リラックスできる時間を持ちたいと感じている方も多いのではないでしょうか。武蔵小杉エリアには、初心者でも安心して通える、女性にやさしいヨガ教室がたくさんあります。 本記事では、初めての方にもおすすめのヨガ教室を6つご紹介します。


「ワクワクする場づくりを!」かわさき市民活動センターの竹迫和代さん

「ワクワクする場づくりを!」かわさき市民活動センターの竹迫和代さん

公益財団法人かわさき市民活動センターの理事長をされている竹迫和代(たかば かずよ)さんは、今、同センターを今一度バージョンアップさせる変革に取り組んでいます。その背景には、都市計画などにおける住民参加のプロセスデザインを仕事としてきたキャリアがあるようです。これまで、どのような道のりを歩んでこられたのか、お話を伺いました。


【川崎市】2025年7月のイベント情報

【川崎市】2025年7月のイベント情報

夏本番の7月、川崎市では親子で楽しめるワークショップやフェス、公演など多彩なイベントが目白押しです。多彩なクラフトを楽しんだり、吹き抜ける風にそよぐランタンを見上げたり、音楽や演劇に心を揺さぶられるひとときを、ご家族やお友達とお過ごしください。 ※イベント情報は予告なく変更になる場合がありますので、お出かけ前に必ずイベントや施設の公式HPにて最新情報をご確認ください。


【武蔵小杉】休日に始めたい、女性におすすめの趣味5選

【武蔵小杉】休日に始めたい、女性におすすめの趣味5選

「何か新しいことを始めたいけど、何を選べばいいかわからない…」そんな方に向けて、武蔵小杉で楽しめる女性向けの趣味を5つご紹介します。気軽に始められて、週末がちょっと特別になるような時間の過ごし方を見つけてみませんか?


広告募集ページ
区民ライター募集