相続・終活カフェ「しんまるcoffee」が提供するサービスとは

相続・終活カフェ「しんまるcoffee」が提供するサービスとは

新丸子駅のほど近くに相続・終活カフェ「しんまるcoffee」があります。そこでは、「まちの専門家グループ」が相続に関するもめ事や相続税のシミュレーション、あるいは、相続登記の相談事などにのってくれます。そんなサービスについて、株式会社ラックコンサルタントの山本泰弘さんにお話を伺いました。


「まちの専門家グループ」で法律的ワンストップサービスを提供

―相続・終活カフェでは専門家の方々が色々な相談に乗ってくれるそうですね

山本:私たちは「まちの専門家グループ」という専門家のネットワークで、弁護士や税理士、司法書士やファイナンシャルプランナーなど横のつながりで展開しています。このネットワークの事務局として、私が所属する株式会社ラックコンサルタントがあります。

 

どういう活動をしているかといえば、1次受けとしてお客様からの色々な問い合わせ、ご相談をまずは受けて、内容を聞いた上で、この相談であれば、この先生に任せようとか、複数分野にまたがるケースであれば、「この先生とこの先生にお任せしよう」など、チームを編成し、ラックコンサルタントはそのまとめ役を担います。

―まちの専門家のネットワークをつくったメリットは何ですか

山本:一言でいえば、「法律的ワンストップサービス」と呼んでいます。たとえば、相続でもめ事が起きた場合、どうするかといえば、やはり弁護士です。相続税の問題が発生した場合は、税理士です。不動産登記の手続きならば、司法書士です。もちろん、問題が複数にまたがるケースが多々あります。

 

そういった時に、お客様がいきなり複数の専門家にそれぞれ連絡をとって、直接会おうとすることに、ためらってしまう方が多いようです。そのような時に、まずは、事務局の窓口に来ていただいて、私たちはご相談の内容をよく把握し、適切な専門家をこちらで采配をします。お客様にとってそれがメリットとなります。

まちの専門家グループが様々な相談事に乗ってくれる

―たとえば税理士さんのサポートではどんなことがありますか

山本:相続税の手続きや相続税のシミュレーションがあります。平成27年に税法が改正されて、それまでの非課税枠(基礎控除)の5千万円が3千万円に減り、ひとり1千万円の控除が600万円に減ってしまいました。ですから、例えば相続人が3人いると、非課税枠が4800万円に減ってしまいます。そうなると、財産総額が4800万円を超える人は意外と多いのです。よって、相続税の相談が非常に増えました。

 

そこで、このまま自分が亡くなった場合、もしくは親が亡くなった場合、相続税がかかるのか、かからないのか、税理士さんにきっちりと計算をしてもらいます。それが相続税シミュレーションです。

 

何をやるかと言えば、まず土地・建物の評価をします。相続税の場合の土地の評価は路線価を使いますが、非常に難しい面があります。金融資産に関しては、単純に足していけばいいのです。それで、相続税がかかるかどうかを計算してもらいます。

遺産分割のもめごとは弁護士に相談!

―弁護士の役割にはどういったものがあるのでしょうか

山本:相続に関するもめごとは、やはり非常に増えております。やはり遺産分割における各相続人の主張や考え方がどうしてもぶつかりあってしまうケースは多いです。できる限り、相続人同士の言い分を聞き、互いに歩み寄りができないか、探る努力をしますが、どうしても無理な場合は家裁への調停申し立てや審判という形になっていきます。

 

弁護士にはこのような揉め事に至った経緯から丁寧に聞いていただき、相談者がどのようにしたいのか、また内容により、どのようになるのか、アドバイスとしてご相談者にお伝えいたします。

 

それと、最近は遺言書を作る方が非常に増えておりますが、遺言書で注意すべきはやはり、遺留分でしょうか。作成の段階から遺留分のことを考えて作れば良いのですが、そうでない場合、やはり問題が起こることがあります。

 

「遺留分を請求された」、または「請求したい」というような場合もやはり弁護士に相談をしなければなりません。(※遺留分とは被相続人がその法定相続分の半分を最低限貰うことができる権利) 

相続では様々な問題が発生する

「家族信託」という生前から家族に財産管理を任せる制度も普及

―逆に遺産放棄というケースもありますね

山本:遺産放棄には2種類あって、いわゆる借金がある場合、お父さんが多くの借金をしていて、到底返せない負債を残したまま亡くなった場合、相続が発生した瞬間に、家庭裁判所に遺産放棄を申し立てます。そうすると自分は相続人ではなくなります。ですから、債務からは免除されます。

 

もう一つは、遺産分割協議書において、「自分は財産をもらわない、他の人が相続する」という内容にサインをすれば、それも放棄したことと同じになります。

―司法書士はどんな役割をしますか

山本:相続登記が主な仕事で、まとまった遺産分割の内容に沿って不動産の登記の手続きをします。遺言がなければ、相続人全員で話し合って、だれが不動産を相続するのかを遺産分割協議書に記して、それに基づいて登記申請をします。

―家族信託というものもありますね

山本:これは自分が生きている間の財産管理に関する制度です。自分が衰えて、財産管理ができなくなる前に、誰かに財産を託すことのできる制度です。他人とか友達に預けるわけにはいかないので、家族である子どもに託します。

 

きちっと家族の間で契約をして、それを公正証書にします。それによって、託された子どもは親のために財産を管理しなければなりません。預かったからといって自分のものにはなりません。たとえば、金銭信託というのがありますが、一定の額のおカネを子ども(受託者という)の口座に移します。はたから見れば贈与ですが、契約に基づく信託なので、贈与にはなりません。

 

不動産のケースでは、お父さん名義の土地・建物をお子さん名義に移転します。仮に親御さんが病で臥せってしまったりしても、受託者であるお子さんは、自分の判断で不動産を活用したり売却することもできます。その利益を、親の治療費や老人ホームへの入居費に充てることが可能になります。

落ち着いた雰囲気の相続・終活カフェ「しんまるcoffee」

お客さんが一番やりたいことを優先してプランを立てる

―成年後見とはどういうものですか

山本:成年後見人の役割というのは、財産保全としてのいわゆる金庫番です。後見制度は意思能力がなくなってしまった方のための制度で、家庭裁判所が介在します。だれを後見人にするかを選ぶのは裁判所です。また、任意後見というものもあり、自分の意思能力が危うくなった時のために、後見人をあらかじめ決めておくこともできます。

―ファイナンシャルプランナーの役割を教えてください

山本:業務内容は非常に幅広いのですが、私の場合は、まずは遺産整理や生前対策ですね。冒頭でもお話しましたが、ネットワークの中心になって専門家を手配する役割を担っています。

 

また、終活サポートとして、お客さんからご相談を受けたときに整理をして、プランを立てて、そのプランに伴走します。お客さんが一番やりたいことを優先的にして、一番希望している形にもっていくには、どうしたらいいのかということを考えます。

―今後の展開はどう展開しますか

山本:まずは地元・新丸子には「しんまるcoffeeがある」と言ってもらえるようになりたいです。相続や終活の相談が気楽にできる場所があると、誰もがわかってくれるようになってほしいです。

 

そのためには、できる限り地域貢献をして、色々な催しにもたくさん参加して、街を盛り上げる活動に協力したいと思っています。その上で、地元の人から信頼されて、みなさんが満足していただけるような結果を出せるように努力していきたいです。

―読者へのメッセージをお願いします

山本:カフェを開業した当初の2カ月間はなかなか誰も来ませんでした。相続・終活カフェという肩書をつけたものですから、「相談事がないと来てはいけないところ」と思われてしまったようです。相談事がなくても喫茶店として憩いの場にしていただきたい。そのついでに相談があったときには、声をかけてほしいと思っています。皆さん、ご来店をお待ちしております!

川崎・武蔵小杉を中心とした法務、税務の相談窓口|まちの専門家グループ

https://www.machi-gr.com/


@相続・終活カフェ|相続のことならすべて相談可能!

https://kawasaki-souzoku-cafe.com/lp/


この記事のライター

現代社会は、地縁、血縁、社縁(職場の縁)が希薄になり、個々人がバラバラに分断され、多くの人が孤立するようになりました。そんな社会を修復するにはどうすればいいか。その一つの解が、新たなコミュニティを創造することだと思っています。

関連する投稿


川崎市のまちづくりの仕掛け人・中村茂さん

川崎市のまちづくりの仕掛け人・中村茂さん

川崎市は「音楽のまち」として今年20周年を迎えました。10年前からは、「かわさきジャズ」も開催されています。一方で、「ソーシャルデザインセンター」の設置など新たなまちづくりも推進されてきました。そんな試みの仕掛け人・中村茂さん(川崎市前市民文化局長、現川崎市文化財団理事長)にお話を伺いました。


不登校児に「居場所」を提供する認定NPO法人フリースペース「たまりば」

不登校児に「居場所」を提供する認定NPO法人フリースペース「たまりば」

今の学校教育は150年前につくりだされたもので、制度疲労が起きています。だから学校に行けない不登校児や子どもの自殺が増え続けています。そんな学校や家庭で追い詰められた子どもたちに、「居場所」を提供し続けている認定NPO法人フリースペース「たまりば」の西野博之理事長にお話を伺いました。


日本のタップダンス界をけん引する藤川誠さん

日本のタップダンス界をけん引する藤川誠さん

藤川誠さんは、真田広之さんなどアクションスターに憧れて中学生の時からタップダンスを始めたそうです。日本では活躍の場が少ないタップダンスを盛り上げようと「かわさきタップフェスティバル」を開催するなど、日本のタップダンス界をけん引してきました。そのタップダンス一筋の半生を語っていただきました。


ご逝去からご葬儀・お葬式までの流れ

ご逝去からご葬儀・お葬式までの流れ

いざとなって慌てないために、ご逝去からお通夜、お葬式、火葬までの流れやご自身がやらなければいけないことなど分かりやすく説明します。


21世紀型コミュニティの再編成に挑む呉哲煥さん

21世紀型コミュニティの再編成に挑む呉哲煥さん

従来の血縁、社縁、地縁が希薄化している現代は、しがらみやわずらわしさから解放されましたが、裏返せば社会の基盤となるセーフティネットのはく奪でもあります。一方で、現在、21世紀型ともいえるコミュニティが生み出されつつあります。その最前線で旗振り役を務めるNPO法人CRファクトリー代表理事の呉哲煥さんにお話を伺いました。


最新の投稿


川崎市中原区にある学童保育の一覧!施設の特徴やメリットを解説

川崎市中原区にある学童保育の一覧!施設の特徴やメリットを解説

学童保育とは、学校が終わってからの放課後や長期休暇中などに、保護者の代わりにお子さんたちと過ごし、見守ってくれる場所のことです。川崎市中原区にも数多くの学童保育が存在し、各施設で特徴が異なります。本記事では、川崎市中原区にある学童保育の一覧や各施設の特徴、学童保育のメリットなどをご紹介します。川崎市中原区にて学童保育を検討されている保護者の方は、ぜひ当記事を参考にしてください。


川崎市中原区の避難場所はどこ?災害への備えや発生時の対処法を解説

川崎市中原区の避難場所はどこ?災害への備えや発生時の対処法を解説

災害発生時に身の危険を感じる場合は、迅速な避難行動が必要です。 避難場所は、指定避難所と指定緊急避難場所と名称が異なるケースがありますが、この違いはなんなのでしょうか。 本記事では、川崎区中原区にある避難場所の一覧や防災マップ、災害への備え・災害発生時の対処法をご紹介します。 自分や家族の大切な命を守るため、いざというときに迅速な行動を取れるよう避難場所の把握や防災グッズの準備を徹底しておきましょう。


川崎市中原区の治安は悪い?住みやすい?魅力と気になる点を解説

川崎市中原区の治安は悪い?住みやすい?魅力と気になる点を解説

「川崎市への引っ越しを検討中だけど、中原区の治安ってよいのかな?」「川崎市は治安が悪いって聞くけど、よいエリアはないのかな?」このようにお考えではないでしょうか?川崎市の治安は、エリアによって大きく異なります。その中でも中原区は比較的治安がよいため、「住みやすい」と人気を集めているエリアです。ただ、引っ越しをするのであれば、よい面だけでなく気になる点も知っておきたいはず。そこでこの記事では、川崎市中原区への引っ越しを検討している方向けに、治安に関するデータをご紹介したうえで、魅力や気になるポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。


大人の川崎観光!駅周辺から穴場スポットまで遊べるおすすめスポットを紹介

大人の川崎観光!駅周辺から穴場スポットまで遊べるおすすめスポットを紹介

この記事では、川崎駅周辺の定番スポットから、少し足を延ばして訪れたい穴場スポットまで、大人のための川崎観光ガイドとしてご紹介します。それぞれのスポットへのアクセス方法や、1日、2日で楽しめるモデルコースもご紹介しますので、ぜひ参考にして、あなただけの川崎観光プランを立ててみてください。


相続・終活カフェ「しんまるcoffee」が提供するサービスとは

相続・終活カフェ「しんまるcoffee」が提供するサービスとは

新丸子駅のほど近くに相続・終活カフェ「しんまるcoffee」があります。そこでは、「まちの専門家グループ」が相続に関するもめ事や相続税のシミュレーション、あるいは、相続登記の相談事などにのってくれます。そんなサービスについて、株式会社ラックコンサルタントの山本泰弘さんにお話を伺いました。


区民ライター募集