■1.管轄と目的の違い
保育所は児童福祉法に基づいた厚生労働省管轄の児童福祉施設で、幼稚園は学校教育法に基づいた文部科学省管轄の教育機関です。
また保育所は、保護者の就労などを理由として保護者の代わりに保育を行うことを目的としています。内容は、養護に相当する「生命の保持」及び「情緒の安定」、並びに教育に相当する5領域(「健康」、「人間関係」、「環境」、「言語」、「表現」)を基本にしています。
一方、幼稚園は義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、 幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的としています。内容は、教育に相当する5領域(「健康」、「人間関係」、「環境」、「言語」、「表現」)を基本にしています。
目的を見ると教育に相当する5領域は共通していますね。 実は、管轄は違いますが、1963年の文部省・厚生省の共同通達では「保育内容を同じにする」と決められています。
そして2018年に保育所の「保育指針」と幼稚園の「教育要領」が改定されましたが、その中で、保育所も幼稚園も幼児教育機関として同じ内容の教育をすると改めて書かれました。双方とも幼児教育の指針として整合性を図りながら規定されているのが実態です。
■2.保育所と幼稚園との違いのまとめ
管轄と目的の違いを挙げましたが、保育時間や職員の免許なども違いますので、一覧にして保育所と幼稚園の違いをまとめてみました。
■3.保育所と幼稚園はどちらが多いの?
下図からもお判りになるように保育所の数は増えていて、幼稚園の数が減ってきていますね。
皆さんも予想されていると思いますが、核家族の進行と共働き世帯の増加が要因です。幼稚園の送迎の時間に中々行けない方が多いのが実情ではないでしょうか?
また、幼稚園が減少していく中、2015年4月に施行された「子ども子育て支援新制度」により「幼保連携型認定こども園」が増えていることもわかりますね。
※幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第8回) <参考資料6>より抜粋
■4.どっちがいいとかあるの?
先ほども述べたとおり、教育面に関して、5領域(「健康」、「人間関係」、「環境」、「言語」、「表現」)は保育所と幼稚園共に共通していますので、どちらがいいとは言えません。
近年では「非認知能力」の重要性が謳われるようになっています。「非認知能力」とは知能や学力検査では測定できない能力のことです。やる気、忍耐力、協調性、自制心、思いやり、自尊心、共感など、心や社会性に関係する力です。
保育所、幼稚園ともこの「非認知能力」を高めるプログラムを取り入れている所が増えていると思います。
保護者の皆様がお子様にどういう教育を受けさせたいのか?もしっかり考えて、各保育所や幼稚園に実際に聞いてみるのが望ましいと思います。
乳幼児期は何かに没頭する、熱中するという体験をいっぱいさせてあげて欲しいなと個人的に思います。遊びには、ものすごく大きな価値があると感じています。持って生まれた資質がありますし、子どもには無限の可能性があるので、とにかく遊びをいっぱいさせてあげたいですね。